We who are too
awkward
<Side SANJI>
時々、酷く不安になる。
こんなに好きなのは、俺だけじゃないかって。
だから、ガキみてぇに八つ当たりして、我が侭言って。
そんな自分に、少し嫌気がさしてみたり。
その度に、お前は少しだけ困った様に眉を下げて、それから酷く綺麗に笑って、全てを受け入れてくれる。
何で怒らないのさ。
甘えんな、馬鹿野郎とかって罵って、突き放したりしないのさ。
その深い優しさに、何時だって不安になるんだよ。
好きで好きで、愛してて。全てを手に入れたいと思っているのは、俺だけなんじゃないかって。
人一倍警戒心が強いお前。
何処までも己に厳しく、簡単に他人を近付けたりしない、お前。
けれど、一度受け入れたなら。
その相手は全て、お前にとって守るべき対象となる。
個人の性別や強さなど関係なく、全て。
ウソップやチョッパーや、ナミさんはもちろん。ルフィだって、年上であるロビンちゃんだって。
もっと年上で頑強な男であるフランキーですら。
きっとお前は自分の何を捨ててでも、皆を守ろうとするだろう。
身体の傷からだけではなくて、心の傷からすらも。
俺もきっと、その中に入っている。
だからなのか?
ねぇ。だから俺の想いを受け入れてくれたのか?
拒絶する事は俺を傷付けると思って、俺の欲するままに全てを差し出してくれたのか?
どんなに八つ当たりをしても、有り得ない位の我が侭を言っても。
いつも少しだけ困ったように眉を下げて最後には綺麗に笑って受け止めてくれるのは、俺も守るべき対象だから?
大きく広げられた、庇護と言う名の翼はとても暖かくて安心するけれど、同時に反吐が出そうだ。
俺が欲しいのは、力強く頼りになる剣士じゃない。生身のお前。
もっと、泣いて、笑って。リアルな感情をぶつけて欲しいんだ。
でもきっと、そんな事を伝えたら。お前はまたあの表情を見せてくる。
お前が好きだ。愛しているんだ。
そう言えば、きっと「俺もだ」と返してくる。
大好きだけれど大嫌いな、あの酷く綺麗な笑顔を浮かべて。
そして俺はまた、不安になるんだ。
こんなに好きなのは、俺だけなんじゃないかって。
教えてよ。
お前の本当の気持ちは何処にあるの。
<Side ZORO>
時々、酷く困惑する。
どうして、俺の気持ちが通じないのかと。
だから、あいつの言葉を全て受け止めて。
それでも通じない己の不甲斐無さに、少し嫌気がさしてみたり。
その度に、あいつは少し苦しそうに目を細めて、それから酷く静かに笑って、傍にいてくれる。
何故怒らないんだ。
分かりにくいんだと罵って、離れていかないんだ。
その深い想いに、何時だって困惑する。
好きで好きで、愛しているのに。うまく伝えられない俺が、嫌になったりしないのかと。
誰よりも優しいあいつ。
その手は出会った全ての人間に差し伸べられる。俺の方が心配になる程、自分の事は後回しで。
けれど、俺に対してだけ。真っ直ぐに感情をぶつけてくる。
笑えるような八つ当たりだったり、ちょっとした我が侭だったり。
そしてその瞳は、こっちが照れてしまう程の想いに溢れているから。
あいつが自分を出せる、唯一の相手が俺だという事が嬉しくて。
嬉しいと思う自分に、少し困ったりもして。
それでも、全てを受け止めて応えたいと、思う。
なのにあいつは、少し苦しそうに目を細めて、それから酷く静かに笑うんだ。
そして俺はまた、困惑する。
どうしてあいつに、俺の気持ちが通じないのかと。
教えてくれ。
俺は何を間違えたんだ。
END
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伝える事は出来るのに、受け止める事が下手なサンジ。
受け止める事は出来るのに、伝える事が下手なゾロ。
もう二人でぐるぐるしてるといいよ!
そんな青い二人が好きですよ。でも身近にいたら苛々するんだろうなぁ(笑)
いかにも恋人同士!っていう内容を書くのは私には難しいらしいです。
ちょっと距離があるほうが書き易い。でも読む分には甘いのが好きです。
それでは、最後まで読んでくださってありがとうございました!
(2008.3.19)
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